羊の字を含む美、善、義の前向きな価値観を表す漢字の様に、改めて自らの生き方を問う。
2015/1/5付
電話からメール、さらに交流サイト(SNS)と、人と人をつなぐ文明の利器は発展がめざましい。あおりを受けているのが手紙やはがきだ。日本郵便によれば今年の正月用の年賀はがきの発行枚数はおよそ34億。ピークだった2004年用に比べ2割あまりも減った。
▼それでも、心のこもった年賀状を受け取ったときに胸をひたす温(ぬく)もりには、格別なものがある。ささやかな近況報告にほほ笑んだり、忘れていた記憶を呼び起こされて苦笑したり。新しい年に期する決意を記した端正な文章に目を通すと、自分も新たな気持ちになれる気がする。生来の筆無精に自己嫌悪を覚えながらだが。
▼年賀状がなければめったに意識することもないのが、十二支だろう。今年は未(ひつじ)年。どういうわけか「未」という字を用いるのだけれど、要するに羊のこと。それで思い出すのは、生涯を漢字の研究に傾けた白川静さんの分析だ。美。善。義。前向きの価値観をあらわす漢字には、羊の字を含んでいるものが、いくつかある。
▼白川さんによると、漢字の原型ができたころ羊を神事に用いることが多かったからという。訴訟をさばくときなどには、羊を通じて神の判断を仰いでいたらしい。正と邪をわかち、人を導く尊い存在といえるかもしれない。美を追い求め、善をこころがけ、義を重んじる。あらためて自分の生き方を問う、仕事始めである。
電話からメール、さらに交流サイト(SNS)と、人と人をつなぐ文明の利器は発展がめざましい。あおりを受けているのが手紙やは :日本経済新聞
[因]
美。善。義。前向きの価値観をあらわす漢字には、羊の字を含んでいるものが、いくつかある。
[果]
美を追い求め、善をこころがけ、義を重んじる。あらためて自分の生き方を問う、仕事始めである。
<編集過程>
羊の字を含む美、善、義の前向きな価値観を表す漢字の様に、改めて自らの生き方を問う。
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