初めて平和的に大統領交代するアフガニスタンの平和と自由の国として新たな一歩を願う。
2014/6/14付
英BBCが2010年から断続的に放映しているドラマ・シリーズに「シャーロック」がある。題名から想像できるように名探偵シャーロック・ホームズが活躍するのだが、舞台を21世紀に移して、新鮮な魅力を生んでいる。日本でもNHKの放映を通して好評という。
▼思わずうならされたのは、ホームズの相棒であるワトソンの設定だ。アフガニスタンでの戦争に軍医として参加し、体をこわした男。コナン・ドイルの原作そのままだ。もちろん、原作は19世紀の、ドラマの方は21世紀の「アフガン戦争」を、それぞれ指している。改めて、アフガニスタンという国の長い苦闘に気がつく。
▼そのアフガニスタンできょう、大統領選挙の決選投票が行われる。5年前の前回選挙では次点だったアブドラ・アブドラ元外相と、4位だったアシュラフ・ガニ元財務相の戦いだ。どちらが勝つにせよ、この国の歴史のなかで画期的な出来事になる。最高指導者が初めて、民主的な手続きを経て平和的に交代するのだから。
▼もっとも、心配のタネは尽きない。原理主義的な反政府武装勢力タリバンはなお強く、テロが絶えない。最強の支援国である米国は2016年の末までに全兵力を引き揚げる。次の大統領が向き合わなければならない現実は、とてつもなく厳しいものだろう。平和と自由の国として新たな一歩を。そう願わずにいられない。