2014年8月5日火曜日

2014-08-05

アフリカ西部で拡大するエボラ禍は未だ有効な治療法がなく、遠い場所の出来事ではない。

2014/8/5付

 1960年代、大阪市の真ん中で奇妙な病気が流行した。発熱や頭痛をともなって腎不全を発症、ひどくなると皮下出血を起こす。約120人の患者が出て2人が亡くなった「梅田熱」である。のちに原因は、ネズミを自然宿主とするハンタウイルスの感染とわかった。

▼本来は特定の動物の体内でおとなしくしているのだが、何かのきっかけで外に飛び出すと人間に襲いかかる。そういう病原体による感染症が20世紀の後半から相次いで確認されるようになった。なかには梅田熱の比ではない激しい出血をきたす病気も多く、ラッサ熱やエボラ出血熱はヒトからヒトへもうつる始末の悪さだ。

▼そのエボラ出血熱がアフリカ西部で深刻な広がりをみせている。ワクチンや有効な治療法がなく、致死率は最悪90%に達するという。ギニアなどで死者は合わせて700人を超え、かつてない規模の感染だ。被害は欧米からの医師や支援団体メンバーにも及んでいる。医療体制も十分に整わぬ土地での魔物との闘いである。

▼エボラ・ウイルスの自然宿主は未特定だが、コウモリの一種とみられる。都市のドブネズミであれ西アフリカの森のコウモリであれ、さまざまな生き物と平和共存していたウイルスにヒトが触れたときから始まった災厄を人類はどう乗り越えたらいいのだろう。たけだけしき勢いのエボラ禍は、遠い場所の出来事ではない。
1960年代、大阪市の真ん中で奇妙な病気が流行した。発熱や頭痛をともなって腎不全を発症、ひどくなると皮下出血を起こす。約  :日本経済新聞











[因]
アフリカ西部で深刻な広がりをみせるエボラ熱

[果]
遠い場所の出来事ではない

<編集過程>
アフリカ西部で深刻な広がりをみせるエボラ熱は、遠い場所の出来事ではない
アフリカ西部で深刻な広がりをみせるエボラ熱は、遠い場所の出来事ではない
アフリカ西部で拡大するエボラ禍は、遠い場所の出来事ではない
アフリカ西部で拡大するエボラ禍は未だ有効な治療法がなく、遠い場所の出来事ではない。

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