2014年8月1日金曜日

2014-08-01

吉原遊女の白い着物を雪に見立て涼を味わおうとした、江戸っ子の粋に学びたい。

2014/8/1付

 八月朔日(ついたち)に吉原の遊女たちが白無垢(むく)を着ている情景を「八朔(はっさく)の雪」と言うのです――。高田郁さんの人気時代小説シリーズ「みをつくし料理帖(ちょう)」の中に、こんな言葉が出てくる。朔日というのは旧暦で月の初めの日を指している。要するに八朔は旧暦8月1日のことだ。

▼伝統的な日本の年中行事の世界では大切な日だった。いまの暦なら9月の前半にあたり、当時は早稲(わせ)が実るころ。その年で初めて稲穂を刈り入れる日とされ、その初穂を神様にささげたり、親しい人やお世話になった人に贈ったりする習慣が、まず農村で根付いたらしい。やがて武家や商家にも、贈答の習わしが広がった。

▼徳川将軍家のお膝元、江戸では、別の理由からも特別の日だった。幕府を開く前、天正18年(1590年)のこの日に徳川家康が初めて江戸城に入ったとされていて、やがて開かれた江戸幕府では正月とならぶ重要な日と位置づけられた。大名や旗本は毎年、白帷子(かたびら)に身を包んで江戸城に参上し、将軍家にお祝いを述べた。

▼そんな武士たちの慣習が幕府公認の遊里にも及んだ、というわけでもないらしいのだが、吉原では毎年、遊女たちが白無垢姿で客を迎えたそうだ。それが冒頭に引用した「八朔の雪」のたとえとなる。明治5年の改暦で旧暦の季節感は消えたけれど、白い着物を雪に見立て涼を味わおうとした江戸っ子たちの粋に学びたい。
八月朔日(ついたち)に吉原の遊女たちが白無垢(むく)を着ている情景を「八朔(はっさく)の雪」と言うのです――。高田郁さん  :日本経済新聞











[因]
8月1日には、吉原の遊女たちが白無垢を着る

[果]
江戸っ子の粋に学びたい。

<編集過程>
8月1日に、吉原の遊女たちが白い着物を雪に見立てて涼を味わおうとした江戸っ子の粋に学びたい。
8月1日に吉原の遊女達が白い着物を雪に見立てて涼を味わおうとした、江戸っ子の粋に学びたい。
吉原遊女達の白い着物を雪に見立て涼を味わおうとした、江戸っ子の粋に学びたい。
吉原遊女の白い着物を雪に見立て涼を味わおうとした、江戸っ子の粋に学びたい。

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