2014年11月7日金曜日

2014-11-07

サンゴが中国船に不法に漁られているが、ルールを守れない者にサンゴを採る資格はない。

2014/11/7付

 宝石商の仲間うちでは、淡いピンク色の品を「ぼけ」と呼ぶそうだ。宝石のサンゴには純白から深紅まで無数の色彩がある。なかでも少し透き通ったピンクは、欧州で「天使の肌」にも例えられて珍重される。それなのに「ぼけ」などと、奇妙な名前がついてしまった。

▼極東のはずれの島国で極上のサンゴが採れるという噂を聞きつけて、イタリアの商人が大挙して土佐を訪れたのは明治の初めだった。地中海で採り尽くし、血眼になって世界中を探し回っていたのだろう。できるだけ安く入手して、高く売るために、地元の漁師に「色がぼけている」と難癖をつけては値切っていたらしい。

▼優しいピンクも魅力的だけれど、血の滴を思わせる真っ赤なサンゴには、胸を突き刺すようなすごみがある。暗く深い海の底で、厳しい潮流に耐えた証しに違いない。元から死んでいる鉱物の宝石とは何かが違う。生き物だからこその、ぬくもり。そして孤独……。その物言わぬサンゴが、中国船に不法にあさられている。

▼明治維新と貿易自由化で、日本はサンゴの輸出国となった。「ぼけ」の名を残したイタリア商人は、日本との取引で巨万の富を築いた。その商魂のたくましさは見事と呼ぶべきだろう。彼らは巧みに商売をしただけで、盗みを働いたわけではない。当たり前のルールを守れない者に、大人の宝石サンゴを愛(め)でる資格はない。
宝石商の仲間うちでは、淡いピンク色の品を「ぼけ」と呼ぶそうだ。宝石のサンゴには純白から深紅まで無数の色彩がある。なかでも  :日本経済新聞











[因]
物言わぬサンゴが、中国船に不法にあさられている

[果]
当たり前のルールを守れない者に、大人の宝石サンゴを愛(め)でる資格はない。

<編集過程>
物言わぬサンゴが、中国船に不法にあさられているが、当たり前のルールを守れない者に、大人の宝石サンゴを愛でる資格はない。
サンゴが中国船に不法にあさられているが、当たり前のルールを守れない者に、大人の宝石サンゴを愛でる資格はない。
サンゴが中国船に不法にあさられているが、ルールを守れない者に大人の宝石サンゴを愛でる資格はない。
サンゴが中国船に不法にあさられているが、ルールを守れない者にサンゴを採る資格はない。
サンゴが中国船に不法に漁られているが、ルールを守れない者にサンゴを採る資格はない。

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