TPP交渉において関税分野で日米が対立する中で、安部首相の一大決心が求められる。
2014/2/27付 小サイズに変更 中サイズに変更 大サイズに変更 保存印刷リプリント 「瑞穂の国」というのは安倍首相がよく使う言葉のひとつだ。日本人は古来、汗を流して田畑を耕し、水を分かち合いながら五穀豊穣(ほうじょう)を祈ってきたと著書「新しい国へ」にもある。そんな日本には、米国流の「強欲」ではない「瑞穂の国の資本主義」がふさわしい、と。 ▼だからといって旧態依然の農業でよしと安倍さんが言っているわけではない。しかし首相のこうした「瑞穂の国」への思いは、環太平洋経済連携協定(TPP)参加にあらがう人々の心のよりどころになっているようだ。聖域死守に躍起の農協はもちろん、右から左からも「瑞穂の国を守れ」のスローガンが聞こえてくる。 ▼こんどこそ大枠合意、の観測もあったシンガポールでのTPP交渉閣僚会合は関税分野での日米の対立が響いて物別れに終わった。あてどなき漂流が始まる気配だが、この土壇場でことを動かそうというなら首相が一大決心をするほかない。触れただけで火花が散りそうなニッポンの聖域である。ほかに誰が踏み込めよう。 ▼そんな挙に及べばどんなしっぺ返しを食らうかと、政権としてはやはり恐怖が先に立つだろうか。「日本は名誉ある孤立を選べ」などという言説の飛びかう昨今だから、交渉離脱の誘惑さえ沸いてくるかもしれない。けれど、その先に何がある。瑞穂の国と言いつつ耕作放棄地が滋賀県の面積に匹敵する列島に、何がある。 小サイズに変更「瑞穂の国」というのは安倍首相がよく使う言葉のひとつだ。日本人は古来、汗を流して田畑を耕し、水を分かち合いながら五穀豊穣 :日本経済新聞
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