2014年9月28日日曜日

2014-09-28

政府は学生支援の奨学金等の予算を惜しまず、経済的理由での学生の大学中退を防止しろ。

2014/9/28付

 「苦学」という言葉がさかんに使われた時代があった。家は貧しいけれど働いて学資を得ながら学ぶ。苦しくとも、そうすればきっと未来は開けると若者たちは夢を膨らませたのだ。明治後期にはすでに「苦学界」「東京苦学案内」といった雑誌や本も出ていたという。

▼戦後になってもそういう苦学生はたくさんいて、定時制高校や大学夜間部はよく青春映画の舞台になった。されどそれもこれも、過ぎ去った遠い昔の話と思いがちだが現実は違う。文部科学省によれば、2012年度の大学中退者7万9千人のうち20%は経済的理由での勉学断念だった。07年度調査より6ポイントも増えている。

▼お金がなくてキャンパスを去った若者がこれだけ多いということは、その一歩手前で歯を食いしばっている平成の苦学生も相当な数にのぼると知るべきである。アルバイトに明け暮れ、食べるもの着るものへの欲も抑えて過ごす4年間なのだ。親のスネをかじり放題の、バブル期あたりのリッチな学生像は遠のいて久しい。

▼政府は無利子奨学金などで学生を支えるというが、こういうところへの予算は惜しんではなるまい。苦学はしばしば美談として語られるけれど、明治大正のころの苦学生も初志を貫徹できるのは100人に1人の険しい道だったという(竹内洋著「立志・苦学・出世」)。豊かになったこの国にあってはならぬ景色だろう。
「苦学」という言葉がさかんに使われた時代があった。家は貧しいけれど働いて学資を得ながら学ぶ。苦しくとも、そうすればきっと  :日本経済新聞











[因]
政府は奨学金で学生を支える予算を惜しまず、

[果]
苦学生の経済的理由での大学中退を防止しろ。

<編集過程>
政府は学生を支える奨学金等の予算を惜しまず、経済的理由での学生の大学中退を防止しろ。
政府は学生支援の奨学金等の予算を惜しまず、経済的理由での学生の大学中退を防止しろ。

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