2014年9月29日月曜日

2014-09-29

噴火はすっかり絶えたと思わせる休火山も死火山も、活火山であるという現実に向き合え。

2014/9/29付

 活火山、休火山、死火山――。むかし学校でこの3分類を教わり、頭にすり込まれた人は多いだろう。阿蘇山や浅間山は「活」、富士山は「休」、御嶽山や箱根山は「死」であった。しかし現在はこういう区分は廃され、過去1万年以内に噴火した山はすべて「活」だ。

▼歴史時代、つまり文字が生まれてからの噴火記録がなければ死んだと見なし、記録があっても長く眠っていれば休止中というのがかつての判定だった。大自然に人間の時間感覚をあてはめたのだから無理な話で、しだいに再検討が進んだ。それを決定づけたのが1979年の御嶽山の噴火だ。死火山が生きていたのである。

▼その御嶽が、また猛(たけ)っている。紅葉シーズンのおだやかな週末、不意打ちのように襲った爆発はたくさんの登山客をのみ込んだ。救援救助も思うにまかせず、被害の全容さえつかめぬ事態にもどかしい思いがただ募る。火山にしてみれば、これもほんの一瞬の身じろぎであるに違いない。人はその前になすすべもないのか。

▼真冬のよく晴れた日、濃尾平野から望む御嶽山は息をのむほどの荘厳さである。篤(あつ)い山岳信仰を生み、噴火などすっかり絶えたとも思わせてきたゆえんだ。けれど火山にあっては「休」も「死」もかりそめの姿、おしなべて「活」であるという現実にあらためて向き合わねばなるまい。それにしても御嶽よ、はやく鎮まれ!
活火山、休火山、死火山――。むかし学校でこの3分類を教わり、頭にすり込まれた人は多いだろう。阿蘇山や浅間山は「活」、富士  :日本経済新聞











[因]
噴火などすっかり絶えたと思わせる休火山も死火山も

[果]
活火山であるという現実に向き合え。

<編集過程>
噴火などすっかり絶えたと思わせる休火山も死火山も、活火山であるという現実に向き合え。
噴火はすっかり絶えたと思わせる休火山も死火山も、活火山であるという現実に向き合え。

0 件のコメント:

コメントを投稿