2014年10月9日木曜日

2014-10-09

赤崎教授のノーベル賞受賞は、幼なき日からの鉱物や結晶への熱意を忘れず達成した。

2014/10/9付

 宮沢賢治の作品には様々な石が出てくる。「藍晶石のさわやかな夜」「天の瑠璃(るり)」「コバルト山地」。小学生のころから熱中し、「石コ賢さん」と呼ばれた。土壌学を学び、採集に明け暮れた。銀河に浮かぶ地球。億万年の歴史が凝集した鉱物が放つ輝きに心奪われた。

▼ノーベル物理学賞を受ける赤崎勇教授も虜(とりこ)になった。父がくれた標本箱を眺めて眠った。石ごとに光沢が違う。結晶の成長度で、形も変わる。不思議さに興味が尽きない。そこから青色発光ダイオード(LED)開発につながる結晶へのこだわりも芽生えた。「後年の私の人生を暗示している」(「青い光に魅せられて」)

▼ピカピカの結晶を求め続けた。あまりの難題に失敗が続く。困難さにライバル研究者が次々に脱落した。それでも「我ひとり荒野を行く」と諦めなかった。材料の窒化ガリウムに着目したのが40歳、成果が出たのは50代後半だった。ほぼ20年かかった。初めてできたときは、コバルトブルーの光が目にしみるように感じた。

▼幼い日の情熱を保つのは難しい。だが、賢治は、鉱物のもつ神秘的な色彩を取り入れて自然や心象風景を描き続けた。「遅咲きの研究者」も鉱物や結晶への熱意を忘れなかった。ひたすら、結晶が持つ可能性を追い続けた。気がつくと、LEDが発する青い光で、白熱灯の時代に終わりを告げ、世界に革命を起こしていた。
宮沢賢治の作品には様々な石が出てくる。「藍晶石のさわやかな夜」「天の瑠璃(るり)」「コバルト山地」。小学生のころから熱中  :日本経済新聞











[因]
赤崎教授のノーベル賞受賞

[果]
幼なき日の情熱を忘れず世界に革命を起こしていた。

<編集過程>
赤崎教授のノーベル賞受賞は、幼なき日の情熱を忘れず世界に革命を起こしていた。
赤崎教授のノーベル賞受賞は、幼なき日からの鉱物や結晶への熱意を忘れず成し遂げた。
赤崎教授のノーベル賞受賞は、幼なき日からの鉱物や結晶への熱意を忘れず達成した。

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