盛り上がりに欠ける六大学野球は、86連敗中の東大が頑張ればもう少し話題になるはずだ。
2014/10/28付
野球といえば東京六大学という時代が、かつてあった。たとえば1937年に出た吉野源三郎の少年向け読み物「君たちはどう生きるか」には、主人公コペル君らが早慶戦のラジオ中継をまねて絶叫する様子が生き生きと描かれている。その興奮ぶりは並大抵ではない。
▼ところがこのロングセラー、戦後の新版では早慶戦の場面がプロ野球の巨人―南海戦の実況にまるごと差し替わってしまった。世間の目がすっかり離れたのだ。むかし神宮球場で声援を送った各校OBもさして興味を示さず、もう長いあいだ、プロ野球と高校野球のエアポケットみたいなところに六大学は落ち込んでいる。
▼盛り上がらぬ理由のひとつは「東大問題」かもしれない。毎シーズンのように最下位に甘んじ、特にここ4年間は白星もなく86連敗で今季を終えた。このままだと来年秋には100連敗に到達する。他校とはまるで選手の事情が異なるからなのだが、それにしてもちょっと負けすぎである。リーグ戦の意義が薄れもしよう。
▼奮起を迫られる東大ナインにとって、15年ぶりの優勝を狙う立教の活躍は大きな刺激に違いない。これで東大が頑張れば六大学野球ももう少し話題になるはずだ。大スタジアムは早朝より数万の観衆に埋められて立錐(りっすい)の余地もありません――「君たちはどう生きるか」の、野球が若かったころの光景は取り戻せぬにしても。
野球といえば東京六大学という時代が、かつてあった。たとえば1937年に出た吉野源三郎の少年向け読み物「君たちはどう生きる :日本経済新聞
[因]
盛り上がりに欠ける六大学野球は
[果]
東大が頑張ればもう少し話題になるはずだ
<編集過程>
盛り上がりに欠ける六大学野球は、東大が頑張ればもう少し話題になるはずだ。
盛り上がりに欠ける六大学野球は、86連敗中の東大が頑張ればもう少し話題になるはずだ。
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