2014年10月20日月曜日

2014-10-20

国産旅客機MRJには、ライト兄弟の様に不安定な環境下でも前に進む姿を見せて欲しい。

2014/10/20付

 19世紀末、欧米では、エンジンを使った動力飛行をめざす様々な挑戦があった。翼を鳥やコウモリに似せたり、主翼と尾翼を同じ大きさにしたり。その中で1903年に米国のライト兄弟が栄誉を手にした根本の理由は何か。佐貫亦男著「不安定からの発想」に詳しい。

▼機体を安定して飛べる構造にすることばかり考えるのを、やめたからだという。空中で不安定になるのを最初から織り込み、機体をいかにうまく操るか追求した。例えば主翼にケーブルをつなぎ、腹ばいになった人間がこれを引っ張って翼をたわませ、バランスをとる。人の操縦能力を生かそうと考え方を転換したわけだ。

▼安定志向を捨て、不安定な状態が当たり前と割り切った、いわば逆転の発想だ。空の世界をめぐっては、そうした心構えが、今の航空機ビジネスにも必要なのかもしれない。世界景気の混迷で航空機の需要予測は容易でない。新興国メーカーも手ごわい。完成披露式のあった国産旅客機「MRJ」も先行きは楽観できまい。

▼事業会社の三菱航空機(名古屋市)には不安定な環境の中でも人の知恵と工夫で前に進む姿を、ライト兄弟の飛行機のように見せてほしいものだ。兄弟は飛行技術がほどなく競合相手に追いつかれ、計画していた飛行機の開発・製造では成功者になれなかった。そのころから技術革新は速かった。教訓の多い2人の歩みだ。
19世紀末、欧米では、エンジンを使った動力飛行をめざす様々な挑戦があった。翼を鳥やコウモリに似せたり、主翼と尾翼を同じ大  :日本経済新聞











[因]
国産旅客機MRJ

[果]
不安定な環境下でも前に進む姿を見せて欲しい

<編集過程>
国産旅客機MRJには、ライト兄弟の様に不安定な環境下でも前に進む姿を見せて欲しい。


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