2014年10月19日日曜日

2014-10-19

中国の支配に抗う香港での大規模デモは、民主派と政府が和解する兆しはまだ見えない。

2014/10/19付

 この夏、愛読者は興奮した。川端康成が初恋の女性に書いた手紙が見つかった。「毎日毎日心配で心配で、ぢつとして居られない」。22歳の大学生が遠隔地の恋人に、会えないもどかしさを切々と訴えていた。結局、恋は破れたが、婚約翌日に撮った写真が残っている。

▼そのときの光景が目に浮かぶ短編「雨傘」がある。霧雨のふる日、少年と少女が思い出にと写真館に立ち寄る。ぎこちない撮影のあとで、少女が先に表に出る。少年の傘を手にして、立っていた。来る道と違い、二人で入ると急に大人になった。夫婦のような気持ちがした。傘には、ほのかな喜び、幸福感がこもっていた。

▼その傘が香港では抵抗の象徴になっている。大学生、高校生などが先導する大規模デモは次期行政長官選挙での立候補制限への反発から始まった。政府が参加者を逮捕するなど強硬姿勢に転じたことで膠着が続く。降り注ぐ水、催涙弾を色鮮やかな傘の花が防いでいる。そこから運動は「雨傘革命」とも呼ばれ始めている。

▼返還から17年。中国の支配が強まるにつれ、自由が制限され、デモなどの動きに火がつく。英国と合意した30年前に事態は予想されていた(中嶋嶺雄「香港」)。だが、展開があまりに速い。50年保証した「高度の自治」も羊頭(ようとう)狗肉(くにく)だったらしい。民主派と政府が折り合い、同じ傘の下で、喜びを感じる日はまだ見えない。
この夏、愛読者は興奮した。川端康成が初恋の女性に書いた手紙が見つかった。「毎日毎日心配で心配で、ぢつとして居られない」。  :日本経済新聞











[因]
香港での大規模デモ

[果]
民主派と政府が和解する兆しはまだ見えない。

<編集過程>
香港での大規模デモは、民主派と政府が和解する兆しはまだ見えない。
中国の支配に抗う香港での大規模デモは、民主派と政府が和解する兆しはまだ見えない。
中国の支配に抗う香港での大規模デモは、民主派と政府が和解する兆しはまだ見えない。

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