2014年4月2日水曜日

2014-04-02

STAP細胞捏造の悪意のほどはわからず、第一幕の背景にどんな意図があったのか知りたい。

2014/4/2付

 あの華やかな第1幕はまだ2カ月前のことだ。弱酸性の刺激を与えるだけで万能細胞ができるという画期的な発見である。理化学研究所の小保方晴子さんはおしゃれなリケジョ。意表をつく割烹着(かっぽうぎ)。小欄だって、まずそういう物語に飛びついた不明を恥じねばなるまい。

▼第2幕は文字どおりの暗転である。舞台は荒涼として、次から次へと疑惑が噴き出す。ただし肝心のSTAP細胞が存在するのかどうかは謎のまま――となれば、きのうの理研の「最終報告」は解決編の第3幕のはずだと思って誰もが注目しただろう。ところが核心部分では歯切れが悪く、なんだか隔靴掻痒(かっかそうよう)の発表だった。

▼ようするに理研の調査は、論文のチェックに終始している。そこに画像の捏造(ねつぞう)などがあったという結論だから深刻極まるのだが、ならばそういう不正は最初から何ごとかを企(たくら)んでのものだったのかどうか、いわゆる「悪意」のほどはわからない。STAP細胞の存否確認は「調査委のミッション(任務)を超える」そうだ。

▼渦中の人は沈黙を破って「とても承服できかねる」というコメントを出した。混沌たる第4幕が始まる気配だが、いっそ彼女も含め、今回の問題にかかわったみんなが舞台に上がって洗いざらい打ち明けてくれないだろうか。思えば第1幕の、あの念の入った演出にはどんな背景があったのか、ほんとうの物語が知りたい。
あの華やかな第1幕はまだ2カ月前のことだ。弱酸性の刺激を与えるだけで万能細胞ができるという画期的な発見である。理化学研究  :日本経済新聞

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