2014年12月9日火曜日

2014-12-09

罪のない人々が犠牲にならないよう、日本は戦争のない国であり続けないといけない。

2014/12/9付

 終戦間際の話だ。もし米軍が海から東京周辺に上陸したら、北関東の戦車部隊が迎え撃つため南下することになっていた。しかし、大八車を引いて北へ逃れる人の群れで道はごった返すだろう。どうすればいいか。尋ねられた上官は言ったという。「踏みつぶしていけ」

▼問いかけた当の戦車兵だった作家・司馬遼太郎は後に、この一事が戦争とは何かを集約する「いちばんのことだった」と振り返っている。若くて感じのいい上官が、作戦とも呼べない絵空事の迎撃作戦を振りかざし、「人を踏みつぶせ」と命じる。司馬は「なぜ、こんなばかな国に生まれたんだろう」と考えていたという。

▼戦争や内戦をきっかけに世界のできごとに関心を持ち、地図が頭に入るという経験がある。旧ユーゴも中東、アフガニスタンも、最近ならウクライナもそうだ。がれきの山や兵器、軍服姿の映像が日々流れ、戦争を見知り聞き知った気になる機会にはこと欠かない。「そうじゃないんだ」と書いたのが作家・山口瞳である。

▼「一緒に冗談を言いあって遊んでいた兄が、隣の評判の孝行息子が、応召で戦地に連れていかれたと思ったら、たちまちにして遺骨になって帰ってくる。それが戦争なんだ」。73年前のきのうきょう、この国は真珠湾攻撃の戦果の興奮に包まれていた。踏みつぶされぬ。灰にはならぬ。そんな国であり続けないといけない。
終戦間際の話だ。もし米軍が海から東京周辺に上陸したら、北関東の戦車部隊が迎え撃つため南下することになっていた。しかし、大  :日本経済新聞











[因]
一緒に冗談を言いあって遊んでいた兄が、隣の評判の孝行息子が、応召で戦地に連れていかれたと思ったら、たちまちにして遺骨になって帰ってくる。それが戦争なんだ
[果]
踏みつぶされぬ。灰にはならぬ。そんな国であり続けないといけない。

<編集過程>
罪のない人々が犠牲にならないよう、戦争のない国で在り続けないといけない。
罪のない人々が犠牲にならないよう、日本は戦争のない国であり続けないといけない。

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