2014年12月30日火曜日

2014-12-30

今年も情報漏洩が頻発したので、対策をしっかり行い被害拡大を抑え新年に備えたい。

2014/12/30付

 ベルリンから季節の便りが届いた。支局の女性スタッフが近況とともに「ハルキ・ムラカミを見て、とてもうれしかった」と知らせてくれた。作家は独紙の文学賞を受賞。先月、壁崩壊から25年の地で「世界には民族、宗教、不寛容といった壁」が残ると講演していた。

▼彼女は日本文学が好きで、大学でも村上春樹を研究していた。親しみを込めて「村上さん」と呼ぶ。そんなファンが世界中にいる作家の長編に、「羊をめぐる冒険」がある。主人公は背中に星形の紋がある1匹の羊を追跡する。羊は人間の中に入り込む不思議な力を持っている。その行方をめぐって、物語は展開してゆく。

▼この羊は、何かの比喩なのだろう。来年の干支(えと)は、よく例えに使われる。キリスト教では、人間を「迷える羊(ストレイ・シープ)」に見立てた。牧畜が盛んな地域では大切な生活の糧だ。いなくなると困る。村落の存亡にもかかわる。むかしの中国では逃げた羊を見失って嘆く「亡羊の嘆」といった成語も生まれている。

▼現代の羊は、顧客情報だろうか。扱い次第で企業の盛衰も左右する。今年も情報漏洩が頻発した。過去5年、大手の3社に1社が流出を経験したそうだ。「亡羊補牢(ろう)」の故事がある。逃げても柵を直せば、被害拡大は防げるとの意味だが、それでは間に合わない。失う前に破れを見つけよ。そう読み替えて新年に備えたい。
ベルリンから季節の便りが届いた。支局の女性スタッフが近況とともに「ハルキ・ムラカミを見て、とてもうれしかった」と知らせて  :日本経済新聞











[因]
扱い次第で企業の盛衰も左右する。今年も情報漏洩が頻発した

[果]
失う前に破れを見つけよ。そう読み替えて新年に備えたい

<編集過程>
今年も情報漏洩が頻発したので、対策をしっかり行い被害拡大を抑え新年に備えたい。

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