2014年12月22日月曜日

2014-12-22

空港の愛称だけでなく、観光名所も旅行客にとって居心地のいい空間にしてもらいたい。

2014/12/22付

 久しぶりに飛行機に乗り、機内誌を見て驚いた。いつの間にか、空港の名前がにぎやかになっている。土地の名物を織り込んだ富士山静岡や徳島阿波おどり空港。動植物の名がついた対馬やまねこ、五島つばき空港。富山きときと空港のように方言が入ったものもある。

▼わが町を元気にしたいという願いが伝わってくる。鳥取では米子鬼太郎空港に続き、いまある鳥取空港が鳥取砂丘コナン空港として生まれ変わることになった。「ゲゲゲの鬼太郎」「名探偵コナン」の作者が地元出身であることが由来である。漫画のキャラクターが訪れる人を出迎えてくれる空港が、2つもできたわけだ。

▼愛称ブームは、地方空港の経営が苦しいことの裏返しでもあろう。あてにした格安航空会社(LCC)も特効薬とはいかないようだ。やっとの思いで誘致した路線が、実績が上がらないまま廃止されることだって珍しくはない。お金をあまりかけず、アイデア勝負でなんとか活性化につなげたいという気持ちはよくわかる。

▼空港はその地方の空の玄関である。親しみや温かみにあふれ、旅行客が扉を開けて入ってみたいという思いを抱いてくれるのであれば、一瞬驚くようなネーミングでも悪くはないのだろう。ただし玄関を飾るだけでなく、肝心の家の中をいま一度見回し、より居心地のいい空間にしてもらいたい。まだ大仕事が残っている。
久しぶりに飛行機に乗り、機内誌を見て驚いた。いつの間にか、空港の名前がにぎやかになっている。土地の名物を織り込んだ富士山  :日本経済新聞











[因]
空港の愛称ブーム

[果]
肝心の家の中をいま一度見回し、より居心地のいい空間にしてもらいたい。

<編集過程>
空港の愛称だけでなく、観光名所も旅行客にとって居心地のいい空間にしてもらいたい。


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