2014年12月11日木曜日

2014-12-11

制御不能の中国の違法取引から、日中経済力の逆転と中国の順法意識不足を感じる。

2014/12/11付

 アフリカ大陸の東南部、タンザニアにある「セルース猟獣保護区」は、いろんな哺乳類が暮らしていることで知られる。名前からうかがえるように、狩猟用の動物を保護するため設けられたのが始まりだ。今では狩猟は禁止。1982年に世界自然遺産に登録された。

▼面積はおよそ5万平方キロ。九州よりも広い動物たちの楽園だ。ところが、ここで暮らす哺乳類の中でも最も大きいゾウの数が、この5年で半分に減ったという。ロンドンに拠点を置く非政府組織(NGO)が先月、発表した。元凶は象牙をねらった密猟の横行。そして象牙の最終的な仕向け地は、なんといっても中国だ。

▼取り締まりの努力がなされてはいる。だが中国国内の値段が高騰しているため、犯罪組織や腐敗した官僚たちが大胆になっているらしい。習近平国家主席が昨年タンザニアを訪れた際、その専用機が密輸組織に利用された疑いさえ指摘されている。おとといには別のNGOが、中国の違法取引は制御不能だ、と警告した。

▼象牙といえば日本向けが目立った時代もあった。そう昔ではない。日中の経済力の逆転を実感する。同時に、日本人の順法意識や動物愛護の精神が強まったのかも、と考えたりもする。「衣食足りて礼節を知る」とは中国の古典から来た言葉だが、礼節にいたる前に欲望が膨れあがる時期がある、と注釈を加えたくなる。
アフリカ大陸の東南部、タンザニアにある「セルース猟獣保護区」は、いろんな哺乳類が暮らしていることで知られる。名前からうか  :日本経済新聞











[因]
中国の違法取引

[果]
日中経済力の逆転と順法意識

<編集過程>
制御不能の中国の違法取引から、日中経済力の逆転と中国の順法意識不足を感じる。

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