2014年12月25日木曜日

2014-12-25

安倍政権の3本目の矢である成長戦略の狙いを定め、的確な経済運営をしてほしい。

2014/12/25付

 作家中島敦は子煩悩だった。南洋庁の役人としてパラオ島に赴任した際、妻子に心温まる手紙を書いた。長男と聖夜を詠んだ短歌も残る。「クリスマス・ツリーに綿の雪のせつチビと笑へば雪飛びにけり」。ぜんそくが悪化、開戦1年後の昭和17年12月に33歳で没した。

▼生前、発表した最後の作「名人伝」の主人公は天下一の弓の達人になろうと志す。並びない名手に弟子入りして、苦しい修行に打ち込むこと5年。虱(しらみ)が馬のように巨大に見え始めた。ついには、連射しても、百発百中。的に当たった矢に次の矢が突き刺さり、瞬く間に百本の矢が一本のように相連なるという神域に達する。

▼第3次安倍内閣が発足した。ほぼ同じ顔ぶれで経済政策を最優先し、3本の矢でデフレ脱却をめざすという。経済は膠着が続く。円安が進んだことへの不満も広がった。財政出動、大胆な金融緩和という2本の矢は的に刺さったようだが、3本目の成長戦略は届かない。27日に決める経済対策は、4本目のようにもみえる。

▼徒然草にこんな話がある。矢を2本持って的に向かう弟子を師匠が戒める。後の矢をあてにすると、始めの矢がおろそかになる。ただ、この一矢で決すると思えと。的確な経済運営は、名人でも難しい。まして、アベノミクスは道半ばで、足踏みしている。頼みの矢ばかりが増えても肝心の的に当たらなければ意味がない。
作家中島敦は子煩悩だった。南洋庁の役人としてパラオ島に赴任した際、妻子に心温まる手紙を書いた。長男と聖夜を詠んだ短歌も残  :日本経済新聞











[因]
安倍政権の3本目の矢の成長戦略はうまくいっていない

[果]
的確な経済運営をしてほしい。

<編集過程>
安倍政権の3本目の矢の成長戦略の狙いを定め、的確な経済運営をしてほしい。
安倍政権の3本目の矢である成長戦略の狙いを定め、的確な経済運営をしてほしい。

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