2014年12月29日月曜日

2014-12-29

地域の個性を活かす地方創生には、他地域との交流でアイデアを集め、魅力を引き出そう。

2014/12/29付

 柳田国男が民俗学の研究に入っていったのは、明治の末、30歳をすぎたころだ。その時期に彼が訪れ、滞在経験が財産になった土地が少なくとも2つある。ひとつは「遠野物語」の民間伝承の舞台である岩手県遠野地方。もうひとつは宮崎県の椎葉村という山間の村だ。

▼椎葉村の狩猟は獣を追い立てる者、銃で狙う者など集団方式。一方、遠野では個人で猟をする。柳田は比較して書いている。家も山腹に建つ椎葉村は奥行きが限られ、横に伸びる形になるが、遠野は母屋に馬小屋を付けるのでカギ形の曲がり屋だ。民俗学の先駆者は地域による違いを興味深くとらえて、世の中に発信した。

▼それぞれの地域に個性がある。政府が掲げる「地方創生」は、各自治体が持ち味を光らせることが大切になる。自分ではなかなか気がつかない場合もあるだろう。地域の人たちだけで考えることはない。今春から遠野市と富士ゼロックスが協力して取り組んでいる地域おこしの活動は、ほかの自治体にも参考になりそうだ。

▼廃校になった中学校を改装し、「遠野みらい創りカレッジ」を開いた。東京などの大学生や企業の社員と地元住民が交流し、地域を元気にするアイデアを出し合う。来訪者からは民家に泊まる「民泊」が古里のように安らげると好評で、これに力を入れることになった。柳田のような外の目が地域の魅力を引き出している。
柳田国男が民俗学の研究に入っていったのは、明治の末、30歳をすぎたころだ。その時期に彼が訪れ、滞在経験が財産になった土地  :日本経済新聞











[因]
政府が掲げる「地方創生」は、各自治体が持ち味を光らせることが大切になる。

[果]
外の目が地域の魅力を引き出している

<編集過程>
地域の個性を活かす地方創生には、他地域との交流でアイデアを集め、魅力を引き出そう。


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