2014年3月4日火曜日

2014-03-04

クリミア半島掌握を狙うロシアに対し、日本も米欧と結束して圧力をかけねばなるまい。

2014/3/4付

 「いやでござんすペリー来航」。黒船4隻を率いてペリー提督が浦賀沖にやってきた1853年を、こんな語呂合わせで覚えた人も多いだろう。同じ年でも世界史になると「いや誤算だったクリミア戦争」。ロシアは英仏などを敵に回し、南下政策に失敗したのである。

▼時代を動かす大きな出来事が、2つの地域で同時進行していたわけだ。欧州列強はクリミアにかかりっきりだったから日本開国で米国の一番乗りを許し、ロシアのプチャーチンは長崎に来航しながら戦争勃発でいったん引き揚げた。ロシア船での密航を企てた吉田松陰はあてが外れ、翌年、黒船に乗ろうとして獄に落ちる。

▼こうして眺めれば、19世紀の昔でさえ日本にも何かと影響を及ぼした黒海沿岸の戦乱だ。地球がうんと狭くなった現代では、かの地の事態は日本の外交にも経済にもすぐさま影を落とそう。ウクライナの新政権に対抗し、またぞろ武力を背景に虎の子のクリミア半島掌握をねらうロシアの動きに世界の緊張が高まっている。

▼権益を確保するためならひどい横車を押してはばからぬこの大国に、ここは日本も米欧と結束してしっかり圧力をかけねばなるまい。わが方は北方領土問題を抱えていて……とたじろいでいたらかえって足元を見られるだけだ。「いや誤算だったクリミア介入」。こう嘆かせるために、国際社会はどんな手を打てるだろう。
「いやでござんすペリー来航」。黒船4隻を率いてペリー提督が浦賀沖にやってきた1853年を、こんな語呂合わせで覚えた人も多  :日本経済新聞

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