2014年3月13日木曜日

2014-03-13

経済の好循環に政治が出しゃばりすぎるのは禁物で、ベアは労使の関係で実現するものだ。

2014/3/13付

 その昔、「モガ」や「モボ」が銀座通りを闊歩(かっぽ)していたそうだ。モボにモガ? これすなわちモダンガール、モダンボーイの略である。片仮名言葉の2文字をつまんで略語とするやり方は近年めっきり廃れたが、かつてはたまにお目にかかった。「ベア」もそうである。

▼ベースアップを縮めてベアとは誰が言いだしたものか、なかなか便利だから春の賃金交渉期には新聞の見出しにもよく躍った。それが昨今は死語扱いされかねない雰囲気だったのだが、今年は違う。アベノミクスの風に乗って、自動車、電機、鉄鋼などの主要企業がきのうの集中回答日に続々とベア実施を組合側に伝えた。

▼基本給を底上げするベアは、企業にとって後々まで負担がかかる。それに頑張った人もそうではない人も一律アップとは悪平等だ、という声もある。とはいえやはりベアあってこそ賃金上昇の実感は湧こう。これが消費を増やし、企業がもうかり、また来年のベアを呼ぶならば申し分ない。経済の好循環が生まれるわけだ。

▼もっとも、そういう流れをつくるのに政治が出しゃばりすぎるのは禁物だろう。甘利明経済財政・再生相などずいぶんコワモテで、利益が上がっているのに非協力的な企業は「経済産業省から何らかの対応がある」と述べたそうだ。そんなに急いてはことを仕損じる。ベアは労使で実らせるもの。アベのベア、じゃあない。
その昔、「モガ」や「モボ」が銀座通りを闊歩(かっぽ)していたそうだ。モボにモガ? これすなわちモダンガール、モダンボーイ  :日本経済新聞

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