2014年3月16日日曜日

2014-03-16

既成品に工夫をこらす消費者の作品作りを、企業からの提案により手助けをしてはどうか。

2014/3/16付

 やや旧聞で恐縮だが、昨年のクリスマスにイチゴの売り上げを前年の3倍に増やしたスーパーがあったそうだ。タネは手描きした1枚の貼り紙だけ。イチゴと生クリーム、柔らかいチョコを使って小さなサンタの人形を作る方法を易しく図解し、売り場に掲示したのだ。

▼いつごろからか、ネットには家庭で工夫を凝らす「イチゴサンタ」付きケーキの写真があふれている。関心を持っていた人が貼り紙を目にし「今年は自分も」と思ったわけだ。基本は既製品で手軽に、でも最後の一手間で家族愛を演出、というわけか。この冬は鍋料理の上に大根おろしでクマやパンダを作るのも流行した。

▼「消費増税後は、こうした楽しみ方が広がっていく」。マーケティング会社を経営する日野佳恵子さんはそう読む。同社の調査では女性の6割が増税後は高い買い物を控えるつもりでいる。食も服も家電も車も、割安で外れの少ない定番品に目が向く。しかし不満も生まれる。個性に乏しく、友人と重なる危険も高い点だ。

▼そこで最後の一手間に凝り始めるというわけだ。「作品」を披露できるネットの普及もこの傾向を後押しする。買った服に好みの刺しゅうを施す衣料品チェーンも登場した。企業と消費者で一緒に物を作る時代とも言える。その中での主演は消費者であり、企業は良き道具係を目指してはどうか。日野さんはそう助言する。
やや旧聞で恐縮だが、昨年のクリスマスにイチゴの売り上げを前年の3倍に増やしたスーパーがあったそうだ。タネは手描きした1枚  :日本経済新聞

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