2014年3月19日水曜日

2014-03-19

民主的変化の反映を期待されたロシアの身勝手なウクライナ併呑は、G8体制崩壊の予兆か。

2014/3/19付

 プーチン大統領の強力な指導力のもとに進んでいるめざましい経済的、民主的変化の反映である――。主要国首脳会議(サミット)でそんなふうに持ち上げられ、ロシアが議長に就くことが決まったのは2002年である。ところはカナダの保養地カナナスキスだった。

▼ロシアはその4年後にサンクトペテルブルクでG8サミットを主催し、ことしは2度目の議長を五輪の地ソチで務めることになっている。しかし、「民主的変化」の行きつくところがこうでは、他の7カ国は同じテーブルに着くことなどできまい。ウクライナをめぐるロシアのやりかたは、それほど専横の愚にみちている。

▼クリミアで軍の力をバックに結果の分かりきった住民投票を行わせる。そして独立を認めたと思ったら、矢継ぎ早に今度はロシアへの編入である。編入といえば耳当たりがいい。併合、いや併呑(へいどん)と呼んでよかろう。ロシア系住民が多い地域とはいえ、独立国ウクライナの領土だ。身勝手な立ち回りが許されようはずはない。

▼世界は小さな保養地でのできごとから動きだす、とは歴史が繰り返してきたところである。69年前、クリミア半島のヤルタでチャーチル、ルーズベルト、スターリンの3首脳が築いたヤルタ体制は、世界規模の戦後レジームだった。クリミアを襲った新しい事態は、カナナスキスで築いたG8体制が崩れ去る予兆だろうか。
プーチン大統領の強力な指導力のもとに進んでいるめざましい経済的、民主的変化の反映である――。主要国首脳会議(サミット)で  :日本経済新聞

0 件のコメント:

コメントを投稿