2014年3月14日金曜日

2014-03-14

浅草寺での商品開発や販売促進が江戸を盛り上げたように更に知恵を絞り先人に続きたい。

2014/3/14付

 東京・下町の浅草寺は、江戸のむかしからにぎわいをつくり出してきた。江戸城下の発展とともに参詣する人が増え、境内と周辺には土産物などの店がたくさん立ち並んだ。のり、お茶、餅、くすり、人形……。消費を盛り上げるのに、この寺は大いに貢献したわけだ。

▼加えて今で言う企業家たちの頑張りもなかなかだった。関東の地酒の味が芳しくなく、江戸で酒といえば灘からの「下り酒」が当たり前なときに、山屋という店は地元産のうまい酒をつくった。隅田川の水を使って醸造したといわれる。上方が一番とは限らない。そんなメッセージを込めた商品で江戸っ子の心をつかんだ。

▼販売促進にも力が入った。木の端を砕いて繊維を房状にし、歯ブラシとして使う「ふさようじ」を売る店は、看板娘が集客を競った。柳屋というようじ店は「明和(18世紀後半)の三美人」といわれた中の一人のお藤が錦絵によく描かれ、大いに店の宣伝になったという。アイドルを活用した販促のはしりといえるだろう。

▼浅草寺の行事は夏のほおずき市、師走の羽子板市など多彩だ。18日には隅田川から観音像が引き揚げられた寺の由来にちなむ「金龍の舞」がある。イベントも国内外から観光客を呼ぶ力になって、町は潤う。店や企業が商品開発やマーケティングにさらに知恵を絞れば、効果は大きい。需要を開拓してきた先人に続きたい。
東京・下町の浅草寺は、江戸のむかしからにぎわいをつくり出してきた。江戸城下の発展とともに参詣する人が増え、境内と周辺には  :日本経済新聞

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